段ボールの素材って?製造工程や段ボールの構造について徹底解説

私たちの生活の中で、段ボールはなくてはならない存在です。
荷物の梱包や保管、引っ越し作業など、さまざまな場面で使われる段ボールは、軽量かつ丈夫という特徴から、多くの人にとって身近なアイテムといえるでしょう。

一方で、その素材や製造工程については、普段あまり意識することがないかもしれません。
実際、段ボールがどんな素材でできているのか、どのような工程を経て私たちの手元に届くのか、またその構造にはどんな工夫がされているのかを詳しく知る機会は少ないです。

この記事では、段ボールの素材や製造工程を詳しく解説。また、段ボールの構造の特徴についても紹介します。

段ボールの背景や豆知識を知ることで、身近な段ボールに対する理解が深まり、日常生活における活用法にも新たな発見が生まれるかもしれません。ぜひ最後までお読みください。

段ボールってどんな素材でできている?

段ボールの素材は、私たちの身近な資源を活かして作られています。
主原料は「段ボール原紙」と「糊」で、環境に優しいのが特徴です。
これらの素材がどのような原料からできているのか、詳しく見ていきましょう。

段ボール原紙

段ボール原紙は、古紙とパルプ(木材)を原料にして作られた紙であり、段ボール全体の基盤となる部分です。

段ボール原紙を作る際の古紙の利用率は非常に高く、90%以上を占めています。
この古紙の多くは、家庭や企業で使用された後にリサイクルに回された段ボールが元になっています。
これは「リサイクル段ボール」と呼ばれ、古紙の有効活用によって、資源を効率的に再利用しているのです。

一方、残りの10%未満は木材から作られたパルプが補助的に使われています。
古紙を中心としたこの構成は、段ボールが環境に優しい素材である理由のひとつといえるでしょう。

段ボール原紙を貼り付けるための糊には、トウモロコシ由来のコーンスターチが使われています。

コーンスターチはトウモロコシを加工して得られるデンプンで、加熱しながら水分を加えることで糊化し、接着剤としての性能を発揮します。
この植物由来の接着剤を使うことで、段ボールは環境負荷を抑えつつ、丈夫な製品となるのです。

段ボールの製造工程

リサイクルされた段ボールから新しい段ボールが作られる過程には、いくつものステップがあり、丈夫さと利便性の良さを保つ工夫が凝らされています。

ここでは、段ボールがどのように新しい段ボールに再生するのか、以下の3ステップに分けて紹介します。

1. 段ボール原紙を作る
2. 段ボールシートを作る
3. 段ボールケースを作る

1.段ボール原紙を作る

段ボールを作るときに最初に行われるのが「段ボール原紙」を作る工程です。

まず、回収業者によって集められた使用済みのリサイクル段ボールから、プラスチック片や金属片といった異物を取り除きます。
その後、粉砕して圧縮した状態で製紙工場へと運ばれます。
これが、段ボール原紙の主な原料となる古紙です。

製紙工場では、回収された段ボールをパルパーという巨大な水槽に入れ、水でほぐして繊維状にします。
この段階で異物を徹底的に除去し、再利用可能な繊維を取り出すのです。

次に、リファイナと呼ばれる機械で繊維をより柔らかく加工し、絡みやすい状態にします。こうして調整された原材料は、抄紙機に送られ、紙として成形されるのです。

抄紙機では、以下の工程に沿って、紙漉きを行います。

  1. 繊維を均一に広げて紙の層を形成
  2. プレスすることで余分な水分を除去
  3. しっかりと乾かす
  4. 表面を平滑に仕上げる
  5. 巻き取って段ボール原紙が完成

2.段ボールシートを作る

段ボール原紙が完成すると、次はこれを使って段ボールシートを製造する工程に進みます。
この工程では、コルゲータと呼ばれる段ボールを貼り合わせる大型機械が活躍します。

まず、中芯原紙をシングルフェーサという部分で波型に成形します。
この波型構造は、段ボールが軽量でありながら強度を保つために重要です。

波型に成形された中芯原紙には糊を塗り、裏ライナーと貼り合わせて、片面段ボールシートが完成します。
その後、この片面段ボールシートと表ライナーを貼り合わせて、両面段ボールシートに仕上げます。

最終的に、スリッタースコアラで必要なサイズに罫線を入れ、カットオフで裁断し、段ボールシートの完成です。

3.段ボールケースを作る

段ボールシートは平らな板状の形で完成しますが、そのままでは段ボール箱として使用することができません。そのため、最後に段ボールケースへと加工されます。この工程では、プリンタースロッタとフォルダーグルアという機械を使用します。

まず、プリンタースロッタを使って、段ボールシートに印刷を施します。企業ロゴや取扱注意マークなど、製品に応じた情報をこの段階で印刷可能です。

同時に、罫線を入れたり溝を切ったりする加工も行います。

このようにすることで、組み立てやすい形状に整えます。

その次は、フォルダーグルアで段ボールシートに糊を塗布し、罫線に沿って折り曲げて箱の形状を作る工程です。機械を使うことにより、段ボールケースは迅速かつ正確に組み立てられます。

最後に束ごとに結束して、段ボール箱の完成です。

段ボールの構造

段ボールは、基本的に3層構造になっています。具体的には、中芯部分の「フルート」を「表ライナー」と「裏ライナー」で挟む形です。

ここでは、ライナー・フルートの種類と役割について解説します。

表ライナー・裏ライナーの種類

表ライナーと裏ライナーは、段ボールの外側と内側を覆う部分で、梱包する商品の安全性や強度を保っています。

古紙含有率の高いC5・C6のライナーと、パルプ含有率が高めなK5・K6・K7のライナーがあります。
パルプの含有率が高いほど強度が強い段ボールになりますが、価格も高くなるのが特徴です。

強度価格種類古紙含有率重さ(1平方mあたり)特徴
C590%以上160g軽量な商品の梱包や発送に適しています
C6200gC5に比べて強度が高いのが特徴ですが、近年需要が減少しています
K550%以上170〜180gC5・C6に比べて強度が高いのが特徴です。
K6210g特殊な形をした段ボールケースを製作するのに適しています。
K7280g強度が高いため、海外輸出や重い商品の梱包におすすめです。

フルートの種類

フルートは段ボールの厚みや強度を決定する波状部分で、ライナーに挟まれる中芯部分です。
用途に応じて多くの種類があります。

Aフルート(5mm厚)

波の高さが最も大きく、緩衝性に優れています。
引越しや運搬用の段ボールとして一般的に使用されるタイプです。

Bフルート(3mm厚)

波の密度が高く、比較的薄いながらも軽量物の梱包に適しています。
小型の宅配箱などに使われます。

Cフルート(4mm厚)

AフルートとBフルートの中間的な厚さで、強度と汎用性を兼ね備えています。
発送用や運搬用の箱に多く使用されます。

Eフルート(1.5mm厚)

波が細かく、薄いため見た目の美しさを重視するパッケージやギフトボックスに最適です。また、印刷の仕上がりが良いことも特徴といえます。

Fフルート(1.1mm厚)

波が非常に細かく、表面が滑らかなため、印刷精度が求められるパッケージに最適です。
メール便用の薄型箱や外観を重視した商品の包装に多く使用されています。

Gフルート(0.9mm厚)

最も薄いフルートで、精密な印刷が可能な段ボールです。
オフセット印刷が直接できるため、化粧箱や個装箱など、高品質な仕上がりが求められる用途に適しています。

Wフルート(8mm厚)

AフルートとBフルートを貼り合わせた特殊な構造で、厚みと強度が非常に高いです。
重量物の梱包や海外発送に使用されます。

まとめ

段ボールは、古紙を中心とした素材と植物由来の糊から作られる、環境に優しい製品です。
軽量で高い強度を備えた構造をもつ段ボールですが、フルートやライナーの種類により、より強度を強くすることもできます。

エムパックでは、お客様のご要望に応じて、さまざまな段ボールの製作をご提案可能です。
「梱包物は決まっているけれど、どのような段ボールが最適なのか」など、ぜひお気軽にご相談ください。